リースバックのシステムを利用して、一時的にまとまった資金を得たいと考えている場合、将来買い戻せるかどうか契約の仕組みや注意点について気になる方も多いでしょう。
この記事では、リースバックで買戻す際に結ぶ契約の内容や仕組みについて解説をしています。
また、売却や再購入の際の基準となる価格や、買戻しをする際の注意点についても知っておきましょう。
リースバック後の買戻しの仕組みや契約方法
リースバックとは、不動産業者に自宅を売却するのと同時に、賃貸借契約を結ぶシステムの契約です。
契約者はまとまった金額を入手でき、さらに住み慣れた住居で暮らし続けられます。
住居を売って、事業資金や住宅ローンの完済にあてられるメリットがあります。
リタイアした後の生活資金の確保の手段として使われる他にも、学費の確保や相続トラブルを回避するための対策など、さまざまな活用方法があるといえるでしょう。
リースバックの仕組み
リースバックをした後、買戻しをする仕組みについてみていきましょう。
自宅を専門業者や不動産会社に一度売却して同時に賃貸借契約を結びますが、契約には主に二つ方法があります。
特約
まず、売却の契約を結ぶ際に、特約を付けて売却した住居を改めて購入する方法があります。
売主は契約時に決められた金額を返還すると、売却契約が解除され、契約自体を白紙に戻せる特約です。
特約によって、売買契約が解除されて消失しますので、再び自宅を購入する契約を結ぶ必要がないのが特徴です。
再売買の予約
買戻しには、契約の際に再売買の予約をおこなう方法もあります。
特約の場合は住宅の売買時に付帯するもので、お金を支払って売買契約の解除が可能です。
一方、再売買の予約をおこなう場合は、再購入の資金が用意できたら、予約完結権の行使ができ、再び売買契約を締結するのが特徴です。
期間
住居の買戻しをする場合は、いつまでも可能ではなく、再購入までの期間が設けられている点に注意しましょう。
民法では、10年を超えての買戻しはできないと決められているため、特約を結ぶ場合には10年の期限となっています。
一方、再売買の予約をする場合には、法律によって期間はとくに定められていません。
しかし、長期間空くと予約完結権が消える可能性があるため、契約の際に業者と期間についてきちんと確認を取るようにしましょう。
登記の必要性
物件の買戻しを会社と約束していても、リースバック会社が他の方や法人に販売してしまうと、買戻しする権利がなくなってしまい、トラブルにつながります。
再購入時に権利を主張するためにも、契約時の登記手続きの際には、特約に基づいた解除の権利と予約完結権、どちらも記載しておきましょう。
リースバック後の買戻し価格の基準
物件の買戻しをする際の購入価格は、どのように決められているのでしょうか。
リースバック契約の一般的な価格相場についてみていきましょう。
基準の価格相場
リースバックの後、物件を買い戻す価格の基本は、リースバックのために売却をした価格から、1割から3割増しの値段が相場となっています。
条件が良い物件の場合は、1割増しで買戻しが可能ですが、条件が良くないと3割程度プラスする必要があります。
売却価格の相場
リースバックをする際の自宅の売却金額は、市場価格と比べると1割から3割安くなるのが相場だとされています。
条件が良い物件の場合は、1割減で売却できますが、条件が良くない場合には3割安く売却となります。
リースバックをした後、1割から3割高い価格で買い戻しをおこなうのが一般的です。
つまり、実質的には市場価格での買い戻しとなります。
再購入の価格は決定されたら、後になって変更はできないと考えておきましょう。
そのため、物件を購入する金額以外にも、業者に支払う手数料や登記諸手続きの経費、印紙税など、少なくない出費が発生します。
トータルでかかる金額の把握も大切です。
リースバック後に買戻しをするための注意点
リースバックの後に物件を買い戻す際に、気を付けておきたい注意点についてみていきましょう。
契約書に買戻しを明記する
買戻しを考えている場合には、リースバック会社による物件の転売を事前に防ぐ必要があります。
転売によって賃貸料が値上げされたり、契約が更新されない可能性がある他、新しいオーナーに買戻しを拒否される可能性があります。
そのため、売買契約書を交わす際には、物件の買い戻しをする旨の明記が大切です。
買戻しの条件を記載する
契約後に市場価格が変動したなどの理由で、当初予定していた価格では買い戻せないケースの発生も考えられます。
再購入時のトラブルを防ぐためにも、売買契約を結ぶ際に、価格をはじめとした条件についても細かく記載しておきましょう。
リースバックの多くの場合では、契約者本人だけではなく、親族でも当初の価格で購入が可能です。
しかし、リースバックの会社によっては、親族でも第三者とみなされ、売却できない場合もあります。
そのため、親族が買い戻す可能性がある際には、親族でも購入できる旨を明記しておきます。
買い戻す期限の選択
契約の際、買い戻す期限は、固定ではなく自由にできるタイプを選ぶのがおすすめです。
期限を固定すると、資金を集めるのが間に合わず、買い戻せない可能性もあるためです。
自由タイプにすると、資金が集まったら予定よりも早く買い戻せるメリットもあります。
賃貸物件の契約方法
物件を借りる場合の賃貸借契約の方法は、普通と定期の2つの種別があります。
普通借家契約とは、1年以上の期間がある、一般的な賃貸の契約方法です。
貸主が希望すれば、何度でも契約期限を更新でき、解約するまで住み続けられます。
定期借家契約とは、貸主の都合などによって、賃貸できる期間があらかじめ決まっている賃貸借契約の種別です。
定期で契約をする場合には契約で決められた期間満了を迎えれば、借主は退去が必要となり、再度の契約ができない可能性があります。
また、契約期間の途中で契約解除はできません。
自宅を再び購入する予定がある場合は、普通借家契約を結ぶのがおすすめです。
定期借家契約にして、契約で決められた期間内に買戻すための資金が十分に集まらなかった場合、再度の賃貸借契約が難しくなるためです。
転居の予定や、資金のめどが明確の場合には、定期借家契約でも問題ありません。
資金調達を計画的におこなう
物件の買い戻すための資金は、計画的に貯めるようにしましょう。
再購入の際にはローンが組めない可能性もあるため、購入資金を準備しておく必要があります。
再購入のための資金を確保するためには、親族に相談して借りる、親族が購入するなど、事前に決めておくのが大切です。
滞納に注意する
リースバック物件を賃貸借契約で借りていて、買戻す予定がある場合は、定められた賃料の期日にとくに気を付ける必要があります。
賃料を延滞してしまうと、契約に違反したとみなされて、物件を買い戻す権利消失のおそれがあるためです。
買戻しをスムーズにおこなうためにも、定められた期日を必ず守って賃料を支払うようにしましょう。
まとめ
リースバックとは、自宅を売却した後、賃貸借契約で住み慣れた家に住み続けられる契約で、決められた金額で買い戻す仕組みです。
一般的には1割から3割程度の安い価格で売却し、1割から3割程度高い価格で買戻すのが一般的です。
契約を締結する際には、買戻す際の価格や売却できる方、条件について明記をするのが重要といえます。
物件を借りる契約は普通借家契約を選び、借りている間は賃料の滞納がないよう、十分気を付けましょう。