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相続時精算課税制度とは?計算方法や注意点についても解説

カテゴリ:不動産相続

相続時精算課税制度とは?計算方法や注意点についても解説

財産を子どもや孫に生前に譲りたいと考えていて、節税対策として、相続時精算課税制度の詳細を知っておきたい方もいるでしょう。
この記事では、相続時精算課税制度の内容や、利用するメリットや注意点についても解説をしています。
相続税や贈与税について知識を得ておきたい方や、メリットや注意点を知っておきたい方は、参考にしてみてください。

相続時精算課税制度とはどのような制度なのか

相続時精算課税制度とはどのような制度なのか

税の改正によってスタートした相続時精算課税制度とは、どういった仕組みなのでしょうか。
内容や、特徴について具体的にみていきましょう。

2500万円までの贈与が非課税となる制度

相続時精算課税制度とは、贈与税に関する新しい制度です。
2023年に法律が改正され、2024年1月より開始されました。
祖父母や父母が子どもや孫に生前贈与をおこなう際、2500万円までは課税されません。
相続が発生すると、贈与された財産を合算して相続税の計算が必要となっているのがポイントです。
贈与の合計が2500万円を超えた場合には、一律で20%の贈与税が課されます。
法律の改正によって、贈与をされた方1人あたり、年間110万円の基礎控除額が設定されているのも特徴です。
相続が発生して7年以内の贈与で、基礎控除の範囲内であれば、相続財産になりません。
利用すると、生前贈与をした場合、贈与税の負担が軽くなるのがメリットです。
早めにまとまった財産を贈与したいと考えている方に、向いているといえるでしょう。

適用対象者の条件

相続時精算課税制度の利用をするためには、一定の条件が決められています。
年齢と贈与の間柄が決められています。
贈与をする方が60歳以上の父母、もしくは祖父母で、贈与を受ける側は、18歳以上の子どもや孫の場合のみが対象です。
最初に贈与を受けた年の翌年3月15日までに、相続時精算課税を選択するための届出書を、管轄の税務署に提出する必要があります。

利用するメリット

相続時精算課税制度は、子どもや孫に対して、まとまった金額を贈与できるのがメリットです。
たとえば、子どもが住宅を購入するための頭金を援助したいと考える場合などに向いています。
贈与を受ける側が希望しているタイミングで受け取れるのもメリットです。

将来値上げが予想される財産を譲りたい場合

将来的に価値が上がるのが見込まれる財産を譲りたい方にも、制度の利用はメリットです。
収益用の賃貸物件などは、相続で受け継いだ際、月々の家賃収入も含めて計算します。
そのため、相続の際、相続税の課税金額が上がっている可能性があります。
事前に贈与しておくと、相続時には贈与をした時の価値で計算するため、税金を抑えられるのです。

相続争いを防げる

生前に財産を譲りたいと考えている方、自分の意志によって渡せるのも大きなメリットです。
相続では、法律で相続人が決められているため、故人の希望とは異なる分配方法になる可能性もあります。
不動産の場合は、金銭と異なり公平に分割できないため、トラブルの原因となる場合も考えられます。
特定の方に財産を贈与しておくと、親族による相続争いを防げるのもメリットです。

複数の方から贈与可能

たとえば、父方の祖父と母方の祖父など、複数の親族から贈与を受ける場合にもメリットがあります。
贈与をする方によって、暦年課税と相続時精算課税、どちらを利用するか選べます。
贈与の内容や金額によって、税金を抑えられる方法を選び、使い分けるのも可能です。

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相続時精算課税の計算方法

相続時精算課税の計算方法

相続時精算課税制度を利用した場合にかかる税金の計算方法について、確認しておきましょう。

贈与税の計算

贈与された金額より、特別控除を引いた金額の20%が贈与税額です。
たとえば、80歳の祖父から、18歳の孫に対して贈与があったとします。
2500万円以内であれば、贈与税はかかりません。
1年目に2000万円を贈与し、翌年も2000万円を贈与した場合で考えると、1年目は基礎控除以下です。
翌年は特別控除額の2500万円から2000万円を引いた、500万円が控除対象となります。
残りの1500万円は課税対象で、20%の300万円が贈与税額です。

相続税の計算方法

上記の例を基に、80歳の祖父が孫に遺産を残して亡くなった場合、相続税の計算方法について確認しましょう。
孫が祖父から7000万円の遺産を受け継いで、その内4000万円を贈与されたものとします。
相続税には1人あたり3000万円の基礎控除が設定されていますので、4000万円が課税対象となります。
課税対象額の20%に、控除額200万円を引くと税額は600万円です。
相続時精算課税を利用していると、贈与税ですでに納税している300万円が控除されます。
そのため、この場合の相続税は600万円から控除額を引いた300万円です。

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相続時精算課税制度の注意点

相続時精算課税制度の注意点

相続時精算課税制度の利用には、注意すべきポイントもあります。
それぞれについてみていきましょう。

必ずしも節税になるわけではない

相続時精算課税制度は、贈与の合計が2500万円までであれば税金がかかりません。
贈与をした方が亡くなって相続が発生すると、贈与された分も含めたうえで、相続税を計算する必要があります。
相続時に納税をまとめてできる仕組みで、納税のタイミングが異なります。
贈与税がかからないといって、必ずしも節税になるとは限りませんので、税金を抑えたい方は注意しましょう。

暦年課税への変更ができない

贈与税の支払い方法のひとつが、暦年課税です。
贈与を受ける方1人あたり年間110万まで控除されます。
贈与の分は、相続された財産に加える必要はありません。
制度を1回選択すると、以後は暦年課税に変えられないのが注意点です。

小規模宅地等の特例が利用できなくなる

小規模宅地等の特例とは、故人が所有していた自宅を相続する場合に、評価額を最大で80%下げて計算ができる仕組みです。
評価額が大幅に下がるため、相続税の負担が軽減されます。
故人の配偶者や子どもなどの家族が、引き続き自宅に住み続けられるように考慮された特例です。
精算課税制度を使っていると、贈与で土地を取得したとみなされます。
そのため、特例の適用にはなりません。
親や祖父母が住んでいる宅地を受け継ぐ予定があり、評価額が高い場合には、考慮が必要です。

物納ができない

財産を生前贈与されると、相続税を払う際、物納ができないのも注意点です。
物納とは、税金を現金で納められない場合、代わりに物品で納税する方法です。
故人の遺産の大半が不動産で、現金化に時間がかかり、相続税が支払えないケースなどが考えられます。
そのため、相続税に関しては、申請をすると物納が許可されますが、精算課税制度の利用があるとできません。
相続時に物納をしようと考えている場合は注意しましょう。

価値が下がると税金の負担が上がる

相続税の計算の際には、贈与された時点の価値で算出します。
値上がりが見込まれる不動産などは、贈与すると節税につながる可能性もありますが、反対に価値が大きく下がると、税金が負担となる場合もあります。

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まとめ

相続時精算課税制度とは、贈与を受けた場合、合計で2500万円まで控除される新しい贈与税の仕組みです。
贈与額は、相続が発生した際に合わせて計算して相続税を支払います。
贈与をする側、受ける側の関係や年齢に決まりがあり、利用には届け出が必要です。
暦年課税に変更できない、節税とならない可能性などのデメリットもありますが、メリットも知っておき、適した方法を選択しましょう。


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