生活費に困窮したときに、生活費を支援してくれる保護制度については多くの方が知っているでしょう。
生活保護を受けたくてもマイホームを売却する必要があると考えて、踏み出せずにいるケースがみられます。
この記事では、生活保護の受給要件にくわえ、不動産を所有していても保護費を受給できるケースなどについてご説明します。
生活費の確保に困っている方はお役立てください。
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生活保護の受給要件
ここでは、生活保護制度の概要や受給要件などについてご説明します。
生活保護とは
すべての国民は、憲法によって健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保証されています。
生活保護とは、最低限度の生活を保障するために生活に困窮している家庭に対して生活費を支給する国の公的支援です。
同一の居住地に住み、同一の生計を営んでいる家庭が生活に困窮している場合、保護費を受給できる対象となりますが、対象世帯は受給要件を満たさなければなりません。
また、この制度は自立した暮らしを支援することを目的としており、労働に関する指導などもおこなわれます。
保護費
受給できる保護費の金額は、家族構成によって異なるだけでなく、地域によっても差があり一定ではありません。
また、扶助の内容には、食費、被服費、光熱費など日常生活に必要な費用を支援する生活扶助のほかに7項目があり、扶助対象となるメニューに応じて増額されます。
7つの項目には、教育、住宅、医療、介護、出産、失業、葬祭に関するものがあります。
受給要件
制度を利用するには、すべての要件を満たす家庭でなければ保護費を受給できません。
要件の1つは資産の活用に関するもので、預貯金のほか、土地や建物などの不動産、自動車、貴金属などが資産に該当します。
2つ目は能力要件であり、働けるにもかかわらず勤めない家族がいる場合は支給対象から外れます。
3つ目として、同一世帯でなくても、両親や成人している子ども、さらには兄弟姉妹など扶養義務者から扶養を得るよう努めなければなりません。
このほか、雇用保険や健康保険、各種年金、児童扶養手当、高齢福祉手当、身体障害者福祉手当など、ほかの法律や制度により受給できるものを優先する必要があります。
これら4つの条件を満たした場合に、保護費を受給できます。
資産活用に関する要件
生活保護制度を活用するには、預貯金を生活費に充てたうえで、土地や家屋などの財産の売却を求められることがあります。
ただし、最低限の生活の維持に必要な財産については、売却などの処分を免れるケースがあります。
不動産を持っている方は生活保護を受けられないと決めつける傾向がありますが、誤解しないよう注意が必要です。
能力活用に関する要件
心身が健康であり、働ける条件が整っている場合には、労働能力を活用する必要があります。
そのうえで、働いて得られる収入が保護費の基準額に達しないときには、不足する分が保護費として支給されます。
支給にあたっては、都道府県や市区町村の福祉事務所が担当しており、保護申請をすると福祉事務所の職員から就業するよう指導されることがあるでしょう。
扶養義務者による扶養に関する要件
成人している子どもや兄弟姉妹は扶養義務者となり、扶養義務者からの扶養が前提とされています。
福祉事務所が扶養義務者に相談するケースもあり、親戚関係が悪化する可能性があります。
他の制度などの活用に関する要件
生活に困窮している状況において、他の制度などにより受けられる補助金や助成金を申請していないケースが見られます。
ほかの補助金などを受けることが前提となっており、そのうえで保護費の基準額に達しない分については保護費として支給される仕組みです。
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不動産の所有者でも生活保護対象になる事例と売却が必要なケース
不動産を所得していると生活保護の対象にならないと思っている方が少なくありません。
ここでは、不動産の所有者でも生活保護の対象になる事例のほか売却が必要になるケースについてもご説明します。
活用と売却の違い
生活保護を申請すると、基本的に不動産の売却について指導されることがあるでしょう。
ただし、保護世帯が居住するための家屋については保有が容認されています。
また、農業収入を得ている方の農地や賃貸経営をしている事業者のアパートなど、生活費を賄うための不動産についても売却を免れるケースがあります。
資産の活用とは売却に限ったものではなく、たとえば、所有している不動産を安い賃貸料で貸している場合には、賃貸料を上げることも指導の一環です。
建物を所有しているにもかかわらず、ほかの物件を借りて居住している場合、所有している住宅へ移転するよう促される可能性があります。
所有している住宅が大きく、使っていない居室があるときには、部屋を貸すよう指導を受けることがあります。
なお、生活費に困っている高齢者世帯においては、リバースモーゲージも1つの選択肢となるでしょう。
リバースモーゲージは、マイホームの所有権を保持したままマイホームを担保に融資を受け、所有者が亡くなった時点で不動産の売却により借入金を返済する仕組みです。
リバースモーゲージを利用すると、公的保護を受けなくてもマイホームに住み続けられる可能性があります。
売却が必要になるケース
居住していない物件を所有しているにもかかわらず賃貸住宅を借りて住んでいる場合、使っていない物件を売却するよう指導される可能性があります。
また、居住している住宅が豪邸など資産価値の高い物件である場合、最低限の生活が可能な賃貸物件への引っ越しを求められることがあります。
なお、住宅ローンの残債があるマイホームを所有している方は生活保護の対象外です。
保護申請をするには、何らかの方法で住宅ローンを返済する必要があり、マイホームを売却しなければならない可能性があります。
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不動産を売却したうえで生活保護を受給して住み続ける仕組み
不動産を所有していても生活保護を受給できるケースがありますが、住宅ローンの返済が残っていると対象になりません。
ここでは、リースバックにより不動産を売却する方法についてご説明しますので、参考にしてください。
リースバックとは
リースバックとは、マイホームを売却したうえで、その物件を購入者から借りて住み続ける仕組みです。
売却する際に売却代金が手に入り、生活資金や住宅ローンの支払いに充てることができます。
また、生活を立て直し、購入資金を確保できた際には、マイホームを買い戻せる可能性があります。
そのうえ、賃貸借契約により引き続き居住でき、引っ越しの必要もありません。
リースバックの注意点
マイホームに住宅ローンの残債がある場合、生活保護の対象にはなりませんが、リースバックにより売却してローンを完済すれば問題を解決できます。
ただし、生活保護の受給要件の一つには資産活用があり、預貯金も含まれています。
また、能力活用の要件もあります。
売却代金が残っていたり、働ける状況だったりすると、保護申請時に福祉事務所からの指導を受けることがあるでしょう。
さらに、住宅の賃借料が著しく高額に設定されている場合、問題になる可能性があります。
生活保護は必要最低限の生活を保証する制度です。
したがって、賃借料が安い物件への引っ越しを指導され、住み続けるのが困難になることも考えられます。
なお、生活保護を受給する際の賃借料の基準は地域によって異なるため、居住地を管轄する福祉事務所へ確認してください。
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まとめ
不動産を所有していても生活保護を受給できる可能性があり、マイホームに住み続けられるかもしれません。
病気などによって働けないなど収入がなくて生活費に困っているときには、福祉事務所の担当者へ相談してみるとよいでしょう。
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